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塩の科学。調理における役割と使い方

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こんばんは!本日は塩について書きます。普段何気なく料理に使っている塩。様々な種類や使い方ががあることはうすうす知っていました。しかし、実はまったく詳しくなく、いつも適当に使っていました。塩は不思議な調味料だと思います。なぜなら、適切な量を使えば食品の美味しさを引き出し体にもいい、多過ぎれば食事全体を台無しにするし体にも害を及ぼすためです。早速、塩が調理に与える影響を調べていきましょう。

 

調理における塩の役割

  アク、臭み抜き

肉、魚、野菜を塩分濃度が高い塩水へ浸すと、水分は食品の細胞膜を通り抜け塩分濃度の高い方から低い方へと移動します。濃度が高い方から薄い方へ水が移動する作用を浸透圧といい、全体的な塩分濃度を均質にするように動きます。水分は食品の細胞内から外へ出て行きます。この時水分と一緒にアクや臭みの成分も細胞外へ排出されることで食材をおいしく仕上げるコツとされています。

タンパク質溶解作用

塩の調理における重要な役割の1つとして、タンパク質への作用があります。たとえば、ハンバーグや魚のすり身に塩を加えてこねると粘度が増してきますね。この粘度は。塩を加えることで筋肉中の筋原線維が溶けだすためです。ハンバーグや蒲鉾の食感に必要な工程なのです。

食品の保存性を高める

昔から保存食には塩がたくさん使われてきました。梅干しや漬物などがその例ですね。食品中で微生物が繁殖するには、適度な水分、栄養が必要になります。この水の量(厳密には微生物が使える水分)を減らすことで微生物の生育を阻害できます。 

塩の種類

精製塩

精製塩はイオン交換膜法によって作られる純度の高い塩です。今日本に流通している塩はほとんど精製塩です。海水を特別な膜を通過させ、ナトリウムイオン、塩素イオンを取り出し生成されます。他のミネラルが取り除かれるので精製度が高く、しょっぱさに尖があります。詳しくは下のサイトを参照された方がわかりやすいかと思います。 

日本の塩造り|塩を知る|個人のお客様|株式会社 日本海水

自然塩(天然塩)

海水の天日干しや煮詰めて作られる伝統的な海水塩や、海底が隆起するなどしてかつての海水が陸地で結晶化した岩塩を指します。岩塩ではアンデスやヒマラヤが有名ではないでしょうか。岩塩は産地によってうっすらピンクや黄色の色がついている場合があります。自然塩にはにがり成分が含まれるため、しょっぱさの中にもまろやかさが感じられるといわれています。お土産でもらう特別な塩は他では手に入らない貴重な自然塩かもしれませんね。

あら塩

自然塩の総称として扱われることもあるそうですが、人工的に作られた塩も含めてにがり入りの大粒の塩をさすことが多いようです。 

合わせ塩

抹茶塩、梅塩、カレー塩など。自然塩とパウダーを混合して調整されるカラフルで、独特のフレーバーを楽しめる塩です。

塩の使い方

塩の使い方にはいくつか種類がありました。魚の切り身を例に調べてみました。

振り塩 

野菜、肉、魚料理の下処理としてよく行われるふり塩ですが、一体どのようなものでしょうか。振り塩の役割は素材に味をつけるとともに、浸透圧の作用によって身を引き締める、臭みぬきの目的で行われます。魚類の場合、魚の重さの2%相当の塩を使用します。塩を30cmほどの高さから均一になるように振りかけます。放置時間は魚のサイズや種類によるようですが、切り身の場合20〜30分で十分と言われています。

たて塩

3%程度の食塩水に魚介類をつけこむのがたて塩です。海水に近い濃度です。身の薄い魚や味が淡白な魚介類に使用されます。

強塩(べたじお)

大量の塩を魚の両面に当てることを強塩と言います。脂の多い青魚を短時間で締めるときに行われます。魚の臭みを水分と一緒に排出し、同時に魚のタンパク質を凝固させ、旨味を閉じ込めます。脂が多い魚の場合、振り塩では水分が排出されにくい傾向にあるようです。

紙塩

紙塩は薄く塩味をつける方法で、霧吹きで湿らせた和紙で魚介を挟み、その両側から塩をふります。振り塩より少なめの塩をふり、そのまま数時間おきます。タンパクな白身魚や貝柱などにほんのり塩味をつける時に行われます。

塩といっても、製造方法や使い方が様々なことがわかりました。塩は食品の味を決めるだけではなく、調理の奥深いところに関わっていそうですね。本日もご覧いただきありがとうございました。

 

参考:太田忠通著、日本料理の<現代>味作り教本

   https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1968/20/3/20_206/_pdf