世界で1つだけの器を楽しみたいなら 焼締と窯変
こんばんは!
世界で1つしか存在しない器と言うとどんな器を想像するでしょうか。王様とか、貴族が使っていたゴージャスな器?美術館に展示されている古代の器?それとも自分で作ったオリジナルの器でしょうか。
今日のテーマは備前焼、信楽焼など焼締と呼ばれる器についてです。「焼締」と「世界で1つだけ」なぜこの言葉がリンクするのか書いていきたいと思います。
焼締と窯変
焼締(やきしめ)とは粘土を形成し、そのまま高温で長時間焼き上げた器のことを言います。土っぽさが前面に出た器です。磁器や陶器と特徴の異なる点は釉薬(器表面をカバーするガラス質)を使わない点、偶然出来上がる色合い(窯変)を楽しむ器という点にあります。
窯変とは窯の中で器を焼いている際に、炎や灰による化学作用でお皿表面の素地や釉薬の色調が変化する現象です。焼締の器は炎の中で偶然生まれる変化を楽しむ器とも言えます。
窯変は窯の中で器がどこに置かれていたか?灰がかかったか?炎の当たり方によって変わってきます。つまり、1つとして同じものは仕上がらないのです。このような理由から、焼締はオンリーワンの器とも言えます。
窯変が美しい器の産地
古くから歴史を持つ備前、信楽、伊賀焼などがあります。産地によって全体的な土の色味や質感は異なりますが、素地となる土を形成して焼くという点は共通しています。
少し前、戸田恵梨香さん主演のNHKドラマ「スカーレット」に信楽焼の陶芸家を演じていましたね。
なぜ窯変はおこる?
焼き物の焼き方には酸素をたくさん供給する酸化炎焼成と酸欠気味にする還元炎焼成があります。前者の場合は器の表面が赤茶色に、後者の場合は青みがかったグレーになります。
器に灰が覆いかぶさり直接炎が当たらなかった箇所は桟切と呼ばれグレーがかったスポットが現れます。窯変の見所は桟切以外にもあります。高温で灰が溶けた部分はガラス質のようになることがあります。ここら辺はまた別の機会に書こうと思います。
焼締はシンプルですが味わい深いです。また、水がしみやすいので、ちょっとお手入れが必要になります。けれど知れば知るほど奥が深く素敵な器に出会えます。世界で一つの食器が欲しい方や渋い器が好きな方にはオススメです。
この秋、いろんな陶器の産地で陶器市が開かれます。オンリーワンの器が欲しい方は、備前焼、丹波焼など調べてみてはいかがでしょうか?最近はオンライン陶器市も開催されています。風合い、手触りは目で見るのが一番ですが自分で遠くまで行かなくても買えるとなるとそれもありだなと思います。
本日もご覧いただきありがとうございました。